卒業生の進路
個々の希望に応じた進路相談
卒業後は窯元や陶芸家のアシスタントになる方・陶芸教室インストラクターなどへの就業が多く、過去3年間(笠間焼人材育成事業の実績)では60%以上の方が進路を決定しています。教職員は、個々の希望に応じた進路相談に対応します。
年度 | 卒業生 | 進学(外部) | 就業 | 独立自営 |
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令和5(2023)年度 | 15名 | 3(0)名 | 1名 | 11名 (独立準備含) |
令和4(2022)年度 | 10名 | 2(0)名 | 2名 | 6名 (独立準備含) |
令和3(2021)年度 | 14名 | 2(0)名 | 6名 | 6名 (独立準備含) |
令和2(2020)年度 | 13名 | 1(0)名 | 5名 | 7名 (独立準備含) |
令和1(2019)年度 | 12名 | 3(0)名 | 2名 | 7名 (独立準備含) |
平成30(2018)年度 | 11名 | 1(0)名 | 5名 | 5名 (独立準備含) |
平成29(2017)年度 | 13名 | 2(1)名 | 3名 | 8名 |
平成28(2016)年度 | 2*名 | 0(0)名 | 0名 | 2名 |
平成28年度から「笠間陶芸大学校」の卒業生実績です。
*平成28年度は,成型基礎コース修了生8名(進学2名(内県外進学1名),就業6名)も修了しています。
OB Voice - 井上 耕佑
井上 耕佑
- 1992
- 茨城県笠間市生まれ
- 2016
- 立教大学文学部卒業
- 2019
- 茨城県立笠間陶芸大学校 陶芸学科卒業
- 現在
- 笠間市で作陶
生まれ育った笠間で…
陶芸家の両親のもとで、笠間で育ったので笠間焼はとても身近なものでした。ただ身近過ぎたのか、自分で何かを土を通して表現したいという欲求を持ったのは大学卒業間近だったと思います。陶芸大学校では轆轤、施釉、焼成といった技術指導から、自分の思考や経験など様々なものから土で形を作っていく造形課題まで多くのことを学びました。全てが一からのスタートだった自分にとって、土を積み上げていくワクワク感、それを自分で焼成していくドキドキ、焼きあがったものに対する複雑な感情は、とても新鮮なものでした。卒業して現在は、笠間で器を製作しながら陶器市や展示会などに出展しています。まだまだ技術的に未熟な部分も多いですが、釉薬研修など卒業後もサポートしていただき自分にとってはとてもありがたいです。在学中に得た知識や疑問などまだまだ自分の器に昇華できていないことは多くありますが、日々思考しながら陶芸を続けて行きたいと思います。
OB Voice - 吉田 知世
吉田 知世
- 1986
- 神奈川県生まれ
- 2008
- 武蔵野美術大学 造形学部
空間デザイン学科卒業 - 2013
- 第8回国際陶磁器ビエンナーレ シュタイヤーマルク州知事賞受賞(オーストリア)
- 2014
- リンツ美術工芸大学 BA 陶芸学科卒業(オーストリア)
- 2019
- 茨城県立笠間陶芸大学校 研究科卒業
- 2023
- 第62回ファエンツァ国際陶芸展 入選(イタリア)
土が教えてくれる素材としての可能性…
何かを表現し、それが誰かに伝わった時の喜びは、他には変えられないものがあります。高校卒業後にデザインを学び、自分の手でものを作っていきたいという思いから、以前から興味のあった陶芸をオーストリアの大学で学びました。そこでは常に、表現したいことを形にするのになぜ土でなくてはならないのか、と問われました。頭で考えているうちに私と土との間には次第に距離が生まれてしまいました。何年かのブランクの後、もう一度真正面から土に向き合いたいと応募したのが笠間陶芸大学校の研究科でした。大学校では、土が教えてくれる素材としての可能性に耳を傾ける事の大切さを学びました。いかに自分が土の事を知らなかったのか、気付かされる日々でした。表現する上で言葉となる素材を知る事、大学校との出会いが私にとって大きな転換となり、その時に学んだ事すべてが今に繋がっています。
OB Voice - 大和田 友香
大和田 友香
- 2014
- 東京農業大学地域環境科学部造園科学科 卒業
- 2017
- 工芸都市高岡クラフトコンペティション 入選
茨城県立笠間陶芸大学校 卒業 - 2018
- 四日市萬古陶磁器コンペティション 入選
知的好奇心を持って…
0からのスタートで、陶芸とは何か。作家とはなにか。教授や講師、職員の方々には手取り足取り教えていただきました。初めは周りとの経験値の差に劣等感を抱き、課題についていくのに必死で悩んでいた時期もありましたが、教授の温かいサポートがあり、そして同期のみなさんが、土という素材に触れ楽しんでいる姿を見ていくうちに、私自身変化があり、比較ではなく自分の興味を表現することの楽しさに気付くことができました。 知的好奇心を持つことで美しいと思える瞬間に出会え、作品に反映できるようになったのも、2年間学校で過ごした中で“良いモノ”にたくさん触れることの大切さを学べたからだと思っています。まだまだ作家として未熟であり度々壁にぶつかるのですが、そんな時は一人で抱え込まず学校で出会えたみなさんに悩みを打ち明けることで、ひとつずつ解決しています。卒業後のサポートも充実しており心の拠り所です。 陶芸と出会えた場所が笠間陶芸大学校で本当に良かったと思っています。
OB Voice - 川井 雄仁
川井 雄仁
- 1984
- 茨城県生まれ
- 2007
- ロンドン芸術大学チェルシーカレッジオブアート
ファインアート科卒業 - 2018
- 茨城県立笠間陶芸大学校 研究科卒業
- 2019
- 「The Kitsch」t.gallery(東京)〔個展〕
「±8 - 現代の陶芸展」SHOP Taka Ishii Gallery(香港)〔グループ展〕
「Art Basel in Miami Beach」Taka Ishii Gallery(マイアミ)〔グループ展〕 - 2020
- 「LOOPな気分でSHOW ME【土塊】」現代美術 艸居(京都)〔グループ展〕
「フル・フロンタル 裸のサーキュレーター」三越コンテンポラリーギャラリー (東京)〔グループ展〕
「H-C三N」東京インターナショナルギャラリー(東京)〔グループ展〕
「Frieze Los Angels」Taka Ishii Gallery(ロサンゼルス)〔グループ展〕
「Art Basel」Taka Ishii Gallery (バーゼル)〔グループ展〕 - 2021
- Like a Virgin」Steve Turner Gallery (ロサンゼルス)〔個展〕
「FLUX」Odem Atelier (サザビーズ ストックホルム)〔グループ展〕
「アートフェア東京」 Taka Ishii Gallery (東京)〔グループ展〕
陶芸に触れ、格闘した場所…
性分に合わないサラリーマン生活に疲れ果て、土砂降りの中、願書をもらいに指導所を訪れた日のことを覚えている。無事入学が許され、社会人から学生になったこともあり、一日中興味のあることだけをしていればよい日々が楽園のように感じた。本当にあっという間の3年間であったが、今も感覚的にはその延長にいて、日々時間に追われながら制作をしている。教授には自身の作家活動も忙しい中、私の好奇心に寄り添い早朝から夜遅くまで何度も窯焚きに付き合っていただいたこと。思い通りにいかない悔しさから釉薬室に入り浸り、その度に申請を受理してくれた職員さん。インターン先や外部講師の方々との交流が、世界を広げてくれたこと。卒業後も仕事が辛い時には、教授に話を聞いてもらうことで乗り越えられたことがたくさんある。自分が初めて陶芸に触れ、格闘した場所が大学校でよかったと、心から思う。
OB Voice - 宮本 果林
宮本 果林
- 1993
- 茨城県鹿嶋市生まれ
- 2016
- 女子美術大学工芸専攻卒業
- 2016
- 茨城県立笠間陶芸大学校研究科 入学
茨城県芸術祭美術展覧会 優賞 (17年優賞) - 2017
- 茨城県立笠間陶芸大学校研究科 卒業
- 2018
- 「COLORS-窯芸の彩色-」 茨城県陶芸美術館 出品
- 2019
- 第25回 日本陶芸展 入選
初個展 回廊ギャラリー門
「いきもの狂騒曲-陶芸フィギュアの現在-」茨城県陶芸美術館 出品 - 2020
- 個展 笠間工芸の丘
第7回陶美展 奨励賞
土との対話の大切さ…
女子美術大学を卒業後、より深く陶芸を学びたいと思い笠間陶芸大学校の研究科に入学しました。 背丈よりも大きいガス窯、伝統的な登り窯、自由に使える釉薬原料や機器など充実した設備に圧倒されながらも職員の皆さんのサポートにより不自由なく制作が出来ました。なにより先生方の熱心なご指導のお陰で技術面だけでなく、『土との対話』の大切さを学び精神面でも成長することができたと思います。県内外から著名な陶芸家や専門家が招かれ行われる特別講座、4日間みんなで協力し焚き続ける薪窯実習は大学校ならではの貴重な体験でした。卒業後は笠間陶芸修行工房スタジオnidoに在籍し制作を続けています。陶芸大学校で学んだことを糧に今後も精進いたします。
OB Voice - アイザワリエ
アイザワ リエ
- 1994
- 静岡県沼津市生まれ
- 2017
- 大阪芸術大学
工芸学科陶芸コース卒業 - 2018
- 第51回女流陶芸展/新人賞
笠間陶芸大学校 研究科卒業 - 2019
- 第25回日本陶芸展/優秀作品賞・文部科学大臣賞
研究科での学び…
大阪芸術大学にて陶芸の表現を4年間学びました。4年間では土の質感を模索し、リアリティを追求していました。より『陶芸』を理解する為、笠間陶芸大学校の研究科に進学しました。入学後は、新しい環境になれることや大学での4年間の考えとは異なる中で、なかなか思うように作品制作が進まないこともありました。ですが、活躍している現役作家の先生方の熱心な指導の下、『陶芸』の理解が深まり、新しい技法にも出会えました。以前にも増して『陶芸』がより面白く感じられるようになりました。1年という短い期間での研究でしたが、濃密な1年だったと思います。卒業後は笠間にて独立しました。まだまだ未熟な作家ですので、日々の努力と考えることを惜しまず制作に精進したいです。
OB Voice - 阿部 慎太朗
阿部 慎太朗
- 1985
- 香川県高松市生まれ
- 2012
- 駒澤大学文学部心理学科卒業
- 2013
- 茨城県立工業技術センター窯業指導所釉薬実践コース修了
学び…そして、環境…
陶芸に出会ったのは大学の陶芸サークルでした。指導者はいませんが、先輩から教わったり、みんなで新しい技法を試したり、自由に一通りのことができる環境でした。熱中しすぎて3度の留年ののち大学7年で卒業し、陶芸を専門的に学びたく窯業指導所(現 笠間陶芸大学校)で1年間の研修を受けました。指導所では釉薬の理論や開発手法を学びつつ、石膏型の先生がいらっしゃいましたので時間を見つけては型の作り方を教えてもらいました。また、年代も国籍も背景も様々な同期の研修生に加え、出入りしているたくさんの作家さんともお話しする機会があり、技術や知識以外にも学ぶことが多かったです。研修修了後は笠間で独立しました。笠間は個人作家の多い産地です。近くで同じように作家活動している方もたくさんいて互いに切磋琢磨できる環境だと思います。陶芸を仕事として始めると、わからないこともたくさん出てきます。そんな時に相談できる環境があるのは心強いです。
OB Voice - 島崎 小乙里
島崎 小乙里
- 茨城県日立市生まれ
- 1987
- 阿佐ヶ谷美術専門学校
造形美術専門課程デザイン科卒 - 1990
- 建築家 梵寿鋼氏支持。装飾家としてものづくりに関わる
- 1993
- 赤ちゃん本舗 絵本大賞入選
- 1995
- 渡嘉敷島でのモニュメント制作に参加
その後、集団工房に参加。陶芸作家として活動を始める - 2001
- 窯業指導所 釉薬科卒業
- 2005
- 私の子供茶碗展 最優秀賞
- 2009
- 「LOVEBOWL」茨城デザインセレクション審査員特別選定
日本クラフト展入選 - 2013
- うのしまヴィラの立上げフード&企画、代表を務める
- 2016
- 陶芸大学校開校記念展「現代陶芸案内」参加
模索する先で見つけたもの…
青で素地を染める。これは液体顔料の特徴的な表現方法です。窯業指導所の釉薬科での研究の日々。ふと耳にした液体顔料。この言葉との出逢いで作品作りは大きく変わりました。専門学校はデザインを専攻。平面、空間、立体などジャンルを超え、人と繋がり、自由な勉強をしました。卒業後は建築や、インテリアの装飾をデザイン制作する仕事や商品企画などを経験。仕事を通してものづくりへの道に入りました。陶芸を志した頃は、上絵をやったり、炭化と向き合ったり、織部に憧れたり、民芸の重厚さに魅了されたり、随分模索しながら手探りで進みました。壁にぶつかり、窯業指導所の釉薬科を専攻。それから随分な年月が流れ、墨絵のような自由な描き方を探していた時、ふと、その言葉を思い出しました。そして出遭った液体顔料。これは、墨が半紙を染めるように描くことができます。青との出遭いから次の表現へ。これからも変化しながら進んでいきたいと思います。
OB Voice - 冨川 秋子
冨川 秋子
- 1977
- 神奈川県鎌倉市生まれ
- 2002
- 女子美術大学大学院美術研究科修了
- 2007
- 窯業指導所成形・釉薬科修了
- 2012
- 第59回 日本伝統工芸展(’13 ’15)
- 2013
- 第22回 日本陶芸展
第53回 東日本伝統工芸展(以降入選)
第5回 菊池ビエンナーレ
「新世代のenergy」茨城県陶芸美術館 - 2014
- 上瀧勝治氏に師事
現在形の陶芸 萩大賞展
岩国美術館賞 - 2015
- 「現代・陶芸現象」茨城県陶芸美術館
「進行形・女子陶芸」茨城県陶芸美術館
諦めない意志と多くの方々との出会いを大切に
私は美大を卒業後、もっとやきものに触れたいという思いから窯業指導所(現・笠間陶芸大学校)を受験しました。指導所では、熱心に指導してくださる先生方と講師の方々から、土を形作る為の技術や釉薬の知識など制作の基礎を学びました。目の前の課題をクリアしなければ先に進めないので、遅れをとらないよう必死だった事を覚えています。その日々の中、同じ作業場で制作する同期生とは互いに様々なことを話し合い、楽しい時間を過ごせて嬉しかったです。学生としての時間はとても貴重です。出来る限りの多くの事を試し、未来へ眼差しを向ける前に今の自分と課題に向き合い考えることが大切だと思います。私は手も背丈も決して大きくないのですが、それでも制作を続けていられるのは、指導所での経験と、「絶対に諦めない」という意志を貫いてきたから。そして何より、家族の応援や多くの方々との出会いに恵まれ、鍛えて頂いているからだと思います。
OB Voice -
蒲公英窯 井上 英基
蒲公英窯 井上 英基
- 1970
- 水戸市生まれ
- 1994
- 窯業指導所成形科にて基礎を学ぶ
- 1999
- ベンドリン・シュタールに師事(渡独)
- 2005
- 茨城県美術展覧会/優勝
- 2008
- 第47回 日本現代工芸美術展/新人賞
第23回 国民文化祭美術展/茨城県知事賞 - 2011
- 現代工芸美術家協会本会員になる
- 2012
- 陶壁制作(JR岩間駅舎)
- 2015
- 第23回 日本陶芸展「碧彩鉢」大賞・桂宮賜杯
第54回 日本現代工芸美術展/現代工芸本会員賞
基礎と継続が大切
18歳から本格的に陶芸家を志し、1994年に窯業指導所にてロクロと釉薬を研究し、その後ドイツに渡り国際陶芸アカデミー会員のドイツ人陶芸家に師事いたしました。言葉も話せなかった私が先生のアトリエで修業し、すぐに仕事を任せられたのは、ロクロをひく事ができたからです。どの国でも仕事の工程は同じ、指示がなくても次に何をすべきか分かります。釉薬に関しても原子記号などが分かれば大体は何の原料か理解できました。
日本の伝統文化と指導所で学んだ事が他の国でも役に立ち、更に現地での経験がプラスになりました。少しずつ積み重ねる事が自分の個性となり、新たな作品へと繋がっていくのだと思います。伝統的な技法や現代的な感性を磨きさらに新たな作品を生み出せたら大変嬉しく思います。そのスタートとして指導所で学べたことは私の基礎となっております。