『AWSが取り組む 最先端テクノロジー』
#5 海外動向編

掲載日:2022年3月14日(月)

開催日:2022年2月25日(金)

レポート

  • セミナー

2022年2月25日、5回目を迎えたビジネスイノベーションセミナは、アマゾンウェブサービスジャパン㈱の亀田治伸さんを迎え、 「AWSが取り組む 最先端テクノロジー」 を開催しました。 中小企業の課題をクラウドで解決!AWSにおける、国内外及び中小企業向けの取組み紹介や、DX活動のマインドや推進ポイントについていてお話しいただきます。

クラウドコンピューティングとは

従来ITは投資を伴う固定資産型であったものを、サービス型に変えていったのがクラウドコンピューティングの基本的な考え方になっています。 特徴としては、使いやすいように 「初期投資不要」「低額の変動費」「使用分のみの支払い」 が挙げられます。 クラウドはコスト削減できるものというイメージがまだまだ強い部分ありますが、 長期にわたる契約が不要であることで、一度作ったものに対してお客様の声を聞いたり、世の中の流れを見たときに、「やっぱりちょっと違ったな...。」という局面に遭遇した場合、 今持っているものにこだわらずいつでも作り変えることができる環境であることがとても重要だと考えています。 残念ながら、ビジネスにおける多くのチャレンジは失敗してしまいますが、その失敗から得た学びを会社の中で積み上ることで成功に向かっていきます。 その中で、クラウドコンピューティングは、撤退コストを予め最小化することで、いろいろなIT基盤を作ることを実現していきいたと考えています。

Amazonが取り組むDXとは

Amazonのファウンダーのジェフ・ベゾス氏がアマゾンを立ち上げる前に書いた図から 「Innovation Fly Wheel」 という経済用語が生まれました。 「Innovation Fly Wheel」は全ての物事の起点をお客様の体験談を基準にビジネスを設計していく考え方です。 昔に比べてAIやIoTが使いやすくなり、お客様の行動を可視化できるようになってきたのでデジタルが役に立つ可能性が高くなってきました。 また、一人のユーザが一日に手に入れる情報が爆発的に増えてきたため、ユーザはよりよいビジネスの提案をデジタルで受け取ることも可能になり、それにより多くビジネスの存続期間が短くなってもきています。 ビジネス提供側は、既存のユーザーにいかに載せ替えられないかが重要になってきます。

今までは、ハードウェアは愛着が生まれるものの価値としては時間と共に下がっていく事は避けられない事でした。 しかし今は、ハードウェアが壊れたり・買い替えた場合でもユーザーのデータを取っておけば、新しいハードウェアに乗り換えても引き継ぐことができる、そのようなソフトウェアの力で乗り越えていくビジネスが生まれてきており、多くのビジネスはソフトウェアが主戦場になってきています。 このようなビジネス構造の変革が生まれてきている中で、企業の中でソフトウェア開発チームをどのように育てていくか、また既存のビジネスの物理的な制限をどう解放していくか、 これを「お客様の満足度を中心に考え直すこそ」がDXの本質だと考えています。

スピードと俊敏性にこだわるための小規模チーム

企業が様々なビジネスに挑戦を繰り返していくうえでは 「企業の中に高いモチベーションを持ち様々なモノづくりをやろうという人(Builder)」 を育成してく必要があります。 今の世の中の流れが激しくなっている中では、いかにエンジニアに自由と責任をセットにした重要なポジションを与えてあげるかが重要になり、 その中で、 「アイデアを形にする」→「出来上がったものをお客様に見てもらう」→「お客様のフィードバックに真摯に向き合いビジネスを育て行く」 このようなサイクルを回すチームを作ることが会社の中で必要になってきます。
そのような中で、エンジニアに対してITのモノづくりの自由をどのように提供するかを考えた結果として、 従来のITでは難しく、新しく Infrastructure as Code というコンセプトのアプリクラウドコンピューティングが生まれてきました。
また、チーム作りの大切なこととして、「皆の意思の疎通がとれている」ことが重要になります。 Amazonでは、Two-Pizza Teams(2枚のピザでお腹いっぱいになるチームの人数)」という考えのもとで、ある程度チームが大きくなったら分割する事をやり続け、意思疎通チーム体制を作り、 「お客様の購買決断を助ける」ことをビジネスの本質とし、「不変の要望を特定し」長期にわたる投資をしていくことで、様々なビジネス開発に取り組んでいます。

企業におけるクラウドコンピューティングの価値

クラウドコンピューティングがコスト削減にフォーカスがまだ当たりがちだとお話しましたが、直接的なコスト削減はたった8%です。 コスト削減ができないというわけではなく、それ以外の利点の方が大きいのが現状です。 その中の大きな利点の一つとして、クラウド上でシステムを作る際のシステム監視の在り方も重要になってきます。 Amazonでは、Well-ArcitectedのPillarという考え方を持っています。

  • OperationExcellece(障害が起きたときに自動で復旧するか)
  • Security(暗号化されているか)
  • Reliability(システムの信頼性があるか)
  • PeformaneEffiiency(パフォーマンスがでているか)
  • ConstOptimization(無駄なコストが発生していないか)

ビジネスの目標として、システムに障害が起きていないかだけではなく、ユーザーがアクセスしてからして0.5秒以内に画面に表示されているかもビジネス目標になります。 そうでないと、たとえサービスが生きていたとしても、サイトが遅いとユーザーが感じるとユーザーが利用しないで終わる可能性もあります。 そういった視点からも、システム監視の在り方全てビジネス目標に沿うように書き換える必要あります。 このようなビジネスの目標において、クラウドで起動する全てのシステムは必ずクラウドの管理基盤と繋がっていることで 、全ての機能をプログラムから操作できるため問題を瞬時に対応することが可能です。 オンプレミスではそれを改善するのは難しい問題もあり、クラウドが選ばれる価値がそこにあるとも言えます。

AWSのAIサービス

今、機械学習が世の中で流行っておりますが、企業が機械学習を取り入れようとした場合、お金と時間がかなりかかることになります。 大企業であればいいですが、多くの中小企業はこの機械学習の導入は向きません。 そこで、Amazonでは既に学習済みのAIを提供するサービスを提供しております。 大きなカスタマイズはできないデメリットはありますが、Amazon.comと同じテクノロジーに基づいた機能を機械学習の複雑な知識無くてもすぐに使えるメリットがあります。
AWSのAIサービスを用いれば機械学習も簡単に利用することができ、中小企業の皆様にもビジネスに取り入れることも可能になっています。 このようなクラウドサービスをうまく利用することで、中小企業の皆様でもITビジネスを展開することができるのではないと考えております。

Guest speaker

【講演者】
アマゾンウェブサービスジャパン㈱
シニアエバンジェリスト
亀田治伸氏

【略歴】
米国州立南イリノイ大学卒業。認証系独立ASP、動画・音楽配信システム構築、決済代行事業者を経て現職。幅広いAWSのサービス群をソリューションとして構成したメッセージング配信。得意領域は、認証、暗号、映像配信、開発手法に見る組織論。