『マイクロソフトが取り組む最先端テクノロジ』
#5海外動向編 

掲載日:2021年03月5日(金)

開催日:2021年2月1日(木)

レポート

  • セミナー

2021年2月1日、5回目を迎えたビジネスイノベーションセミナは、日本マイクロソフトの大森彩子さんを迎え、 「マイクロソフトが取り組む最先端テクノロジー」 を開催しました。大森さんはエバンジェリストとして、クラウドサービス 「Microsoft Azure」 や様々なAIサービスの導入を支援されています。今回は、グローバルに活動されている大森さんに、人工知能の技術動向やビジネス上の取り組みについてお話しいただきます。

コンピューターはそのうち、見たり聞いたり話したりすることができる

これはマイクロソフトの創始者、ビル・ゲイツの言葉です。創業当初からあった構想で、現在はマイクロソフト・リサーチという研究機関でAIの研究を行っています。 マシンパワーの向上、Open AI(分析するためのロジック、フレームワーク)の精度向上などにより、機械学習は、半年~1年で目覚ましい進化を遂げています。実際、画像認識(その物体が何であるか)や機械翻訳(文脈に沿った言葉を選択)、音声認識(人の声を認識してテキスト化する、会話の内容を理解する)、高いレベルで研究が進んでいます。

人工知能とは何か ~ AI :Artificial Intelligence~ 

人工知能(AI)は、コンピューター上で人間の知能を模倣したものです。考え方は2つあり、ひとつは、人間と同じような考え方、ロジックで作るというもの。もう一つは、人間と同じような結論が出るように学習させて、実行するものです。基本的にはビッグデータをマシンラーニング(機械で解析)し、モデルを作ります。データを入れて、学習させて、予測モデルを作る。そうすることで、未知のデータが来たときに、答えを推測できるようになるのです。ただし、初めは精度は高くありません。だんだん上げていくものです。よく、「AIって、いい感じにコンピュータが答えを返してくれるものなのでしょう?」と思われている方がいますが、そういうものではないのです。

パーツとして使えるAI ~Microsoft Azure Cognitive Services~

機械学習で作ったモデルのことをコグニティブ( Cognitive )という言い方をするときがあります。コグニティブには、認識する、認知する、といった意味があり、コグニティブ・サービスといえば、何か一つのモデル(計算する、あるいは認識するといった処理ができる)、AIのサービスだと思ってください。 Microsoft Azure Cognitive Servicesは、一つひとつの機能を独立したWeb APIとして提供する、“AIのパーツ”です。たとえば画像データを送ると、その分析結果を返してくれる、といった動きをするもので、既存のサービスに組み込む、あるいは新たなサービスを構成する一要素として使っていただくことが可能です。常時、およそ30種類を提供しています。

Web APIなので、すぐ使えます。ベースとなる部分は、マイクロソフトの方で機械学習済なため、ある程度賢くなっています。通常ですと何万ものデータがなければ判定がうまくいかないのですが、このサービスでは、少ない場合で10~20、多くても100のデータがあれば、使えるようにしています(面倒なところはマイクロソフトが対応済です)。データを準備することよりも、フィッティング(どういうデータを入れるとほしい結果が得られるか)や、どういったデータの使いかたができるか、シミュレーションするといった、本来お客様に時間を割いていただきたい部分に注力いただけるようなサービスになっています。1コール0.1円からと、だいぶ利用しやすい価格設定になっています。簡単にデモも体験できますので、ぜひ試してみてください。 コグニティブサービス(参考URL)

ニューノーマル時代における攻めのAI

AIで、いままでできなかった様々なことができるようになりました。画像情報の読み取り、感情の推測や、顔検出等々です。従来は防犯カメラとして活用していた画像から、たとえば顧客層を捉えなおす(来客者の性別や年代、来店の時間帯等を分析する)ことが可能になりました。
その他にも、たとえばライブ会場にカメラを設置し、お客様の様子を捉えます。お客様が楽しんでいるのか否かを判定することも可能です。歌に対して感情移入しているのか(表情から泣いている、笑っているなどを推測)、MCの受けはどうか(盛り上がっているか)、ヒートマップを用いて、死角になっている座席を発見する(盛り上がっていない座席はどこかを可視化)など、これまでは捉えづらかったことも見えてきます。
また、最近では空間分析もできるようになりました。人と人の距離を測るですとか、指定した空間の中に、何人の人がいるのか、どういった動きをしているのかをトラックすることができたりします。今時でいえば、店舗内が密か密でないかを把握できます。レジに行列ができていれば、何分お待てせしているのかも、把握できます。
実際にAIを使って、来客予測に成功した飲食店さんもあります。伊勢のえびやさんです。ほんとうに食堂で、パソコンに関して一から学んだ方が、AIを使って店舗の来客予測を行い、フードロスを減らされました。それだけでなく、その来客者予測を、飲食店向けサービスとして販売を始められました。AIを使いこなし、新たなサービスをうみだす企業さんも出始めているということです。

デジタルトランスフォーメーションとAI
デジタルトランスフォーメーションとAIは非常に近い。デジタルトランスフォーメーションを進めようとすると、AIが使いたくなる。使うと実際、デジタルトランスフォーメンーションが進む。そういった関係にあると感じています。
これは、実際にやってみないとわからないことでもあります。できそうに思ってやってみると、できない、そういったことがたくさんあります。
マイクロソフト本社も言っていることですが、AIはどういうものか知らないと、使うことができないです。 でも皆さんは、今日の講演をお聞きになり、「知る」ことの第一歩は踏み出せた。次は、実際にどう使うか、実際に触ってみることです。触ってみて、ああでもない、こうでもない、うまくいかない、あるいは上手くいく。そうしたことを経験して、使いこなしていくことで、ようやく次のステップにいけると思います。
試行錯誤を繰り返しながら、道具として、手足となるツールとしてAIを使っていただけると幸いです。 まだ日本企業のAI導入率は3分の1程度です。5割も行っていません。ですので、このタイミングでぜひ、国内でAIを使う企業になっていただければと思います。ご検討いただけばと思います。

Guest speaker

【講演者】
日本マイクロソフト株式会社
イノベーター/コネクター
テクニカルエバンジェリスト
大森 彩子 氏

グラメモ:
セミナーで話されたことのメモ書きです。参加されたかた、参加できなかったかたに、当日の内容を少しでもお伝えしたいと、手描きで記録しました。
ふりかえり、内容確認にお役立てください。

information