『なぜ、価値創造に他社連携が必要なの』
#4異業種連携編

掲載日:2020年12月24日(木)

開催日:2020年12月11日(金)

レポート

  • セミナー

2020年12月11日、第4回ビジネスイノベーションセミナとして、「なぜ、価値創造に他社連携が必要なのか(異業種交流編)」が開催されました。高校生の頃から起業し、さまざまなビジネスを立ち上げてきた塩谷愛氏(パソナグループ)と、富士通にいながらスタートアップと協業して新ビジネスを立ち上げる、「 FUJITS ACCELERATOR 」という仕組みを作り上げた浮田博文氏(FUJITS ACCELERATOR代表)。お二人に、ご自身の経験から培った協業のノウハウをお話しいただきます。

協業で事業を加速する ~アクセラレータプログラム~

塩谷:今、多くの企業が、 「新たな取り組みを創って世の中に普及させよう」、「イノベーションを起こそう」 と躍起になっている。中でも増えているのが、「コーポレート・アクセラレーション・プログラム」というやり方だ。 大手企業がスタートアップに協業を呼びかけ、それに呼応したスタートアップと手を組む。短期間に事業を成長させようという試みだ。現代は、まさに アクセラレータプログラムのカオス状態 と言ってよい。

オープンイノベーションは難しい ~問題は内にも外にも点在する~

塩谷:とはいえ実際に 成果を上げているプログラムはまだ少ない 。イベントばかり開催されているように受け止められ、「イノベーションごっこ」と揶揄されることも少なくない。
担当者はヤル気やモチベーションが高くても、組織や上司を動かせずにプロジェクトが終了してしまうケース。大企業の上から目線で協業が暗礁に乗り上げ、話が立ち消えてしまうケース。 オープンイノベーションの機運は上がっているが、課題は山積み と言ってよい。

富士通が仕掛ける協業の仕組み「FUJITSU ACCELERATOR」

浮田:富士通では、 「FUJISTSU ACCELERATOR」 というプログラムをつくり、 協業による事業の早期創出 に取り組んでいる。 5年で8回実施し、協業検討は150件以上。協業実績は、85件以上になる。
プログラムの流れはこうだ。まず始めに富士通全社から課題を集める。集めた課題はリスト化しホームページに掲載、スタートアップを募集する。応募企業と個別面談して採択を決定、事業部とマッチングする。その後、数カ月かけて開発、PoC(仮説検証)を行い、事業化を目指す。

あたりまえだが、事業創出は難しい。文化や考え方異なる企業同士で取り組むのだから、なおさらだ。当然、壁にぶちあたる。停滞しても途中で止めると言いだせず、ずるずると進めて失敗するケースも多い。こうした事態を防ぐため、このプログラムでは、 成果が出ないと判断したら、すぐに止められる ようにしている。スタートアップと富士通、どちらからでも申し入れは可能で、対等なパートナー関係を保つことができるよう、配慮している。
また、両社の間に 協業経験が豊富な専任サポートチーム を配置。仕事の進め方などで行き違いが起こり、プロジェクトが暗礁に乗り上げることのないよう仲を取り持つなど、さまざまな支援を行っている。

成功の秘訣 ~キーパーソンの存在と、技術をただしく評価する力~

浮田:協業という難しいプロジェクトを成功に導くためには、熱意のある人物の存在が欠かせない。それは、富士通側だけではなくて、お客様の側にも必要で。熱量は人を動かす。物事が前に進む。逆に言うと、そういう人がいないと、物事が前に進まない。

塩谷:技術の評価を正しくできないと、失敗する。スタートアップと出会ったときに、プレゼンのうまさや、注目度の高さ、ノリや勢いといった表面的な情報で判断しないこと。

技術的な専門領域、力を入れたい事業領域など、ご自身の立脚点にしっかりと立って判断することが大切。
そのためには、常に専門領域の情報をアップデートし続けることが大切だ。

参加者とのクロストーク
登壇者とセミナー参加者が異業種交流についてさまざまな意見交換が行われました。

Guest speaker

【講演者】
株式会社パソナグループ
イノベーター/コネクター
事業開発ディレクター
塩谷 愛 氏

Guest speaker

【講演者】
富士通株式会社
富士通株式会社
浮田 博文 氏

グラメモ:
セミナーで話されたことのメモ書きです。参加されたかた、参加できなかったかたに、当日の内容を少しでもお伝えしたいと、手描きで記録しました。
ふりかえり、内容確認にお役立てください。

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