【IT企画者コース】デジタル技術サービスデザイン講座

開催日:2019年8月9日

レポート

  • 講座

8月9日は、【IT企画者コース】デジタル技術サービスデザイン講座です。
デジタル技術の基礎講座を受講した方々に、次はデジタル技術を基軸としたサービス/及びビジネスデザインの知識習得を行うべく、本講座を開催しました。デジタル活用だけ、 “価値” をすることは難しく、その “価値” を感じる人間を中心としたサービス設計が必要になります。併せて、そのサービスを継続的に提供、改善していくためには収益化、つまり事業化していく必要があります。 デジタル活用-ユーザー価値開発-事業開発・運営 の3つの要素をマルチで考えていく活動スタイルを体験いただきました。

サービス価値 = 有用性 × 保証 × (デジタル活用)

“価値” 」ってなんだろう」モノやサービスが持つ効能と、顧客の欲求がフィットして、初めて価値が生まれます。 「 “サービス価値” ってなんだろう」:有用性×保証からスペックとステータスの総和、「サービスデザインって何だろう」「ユーザー」と「モノやサービス」の関係性をより良くすること。生み出したい、作りたい、実現したい “価値” を現実世界で表現するために様々なアプローチがとられています。現在は、サービスデザインの考えを取り入れた上で、デジタル活用との親和性を高めていくスタイルが多くなっています。参加者の方々が、普段取り入れているスタイルが “課題解決型(課題発見→課題分析→原因分析→解決策立案→実行検証)” 、実現したいこと、ニーズが明確な際に有効なスタイルです。ただ、本事業のようにイノベーション領域に挑戦する場合は、このニーズが不明瞭なことが多い。

このニーズが不明瞭な場合は、ユーザーが実際に触ってみないと実体としてのニーズがつかめない。となると、課題解決型のスタイルでは、ニーズ充足するためのアプローチが難しく、別のアプローチが必要になります。そこで登場するスタイルが「サービスデザイン」です。ユーザーを中心にとらえ、 探求→設計→再構成→実施 を繰り返すスタイルです。ユーザーインサイトと、その解決に欠かせない要素は何かを “探求” し、探求した結果に時間軸を取り込み、ユーザーの行動と感情とサービスの関係性をMECEに可視化、 “設計” していく、ユーザーとサービスの関係性が良いことを前提にデジタル技術でそのサービスが構築可能か、データと技術の取り込みから “再設計” を行う。その上で、MVP(Minimum Viable Product:顧客に価値を提供できる最小限の製品、スケッチやモックや試作品等)を開発して実際にユーザーに利用してもらい “実行” 結果を得て、その上でユーザーからフィードバックしてもらう流れです。

ニーズが分からないからこそ、新しい価値をMVPとして表現し、ユーザーに利用してもらった結果から改善を重ねていく、試行錯誤なスタイルです。 上流から下流までロジカルに分析していくスタイルとは異なり、名の如くユーザーに寄り添い続けるモデルです。 参加者各々が持ち込んだテーマを基に、このサービスデザインの考え方やプロセスを適用し、且つ、他社の参加者からフィードバックを得ながら、テーマにフィットした “価値開発” を推進しました。 また、いきなり上述したプロセスを回すことは難しいため、デジタル活用と親和性の高いフレームワークを活用し、取り組むことで、議論すべき思考の枠組みを軸とした発想が生まれ、活動が活性していました。

デジタルが威力を発揮するポイント

ユーザーインサイトを探求し、そのインサイトにアプローチする手段として、現在、デジタル技術の適用が非常に有効になります。従来難しいとされていたことの一部が、IoTやAI、XR等の活用から実現の可能性が生まれています。前段の講座で学習した“デジタル技術”で出来ること、出来ないことを念頭に置いた上で、サービスデザインプロセスを推進すると、デジタル技術が新しい示唆を提供してくれます。ただ、日進月歩で技術が進化を続ける現代においては、その最新技術のキャッチアップが重要になります。メディアやWeb情報(二次情報)での入手も重要ですが、ITエンジニアや実行中の企画者と実際に会話することで得られる1次情報が貴重であることを付記しています。

サービス価値とビジネス価値の同期

サービスデザインの活用により、ユーザー価値が開発された前提で、次の展開に移ります。事業化≒収益化です。ユーザー価値は、有用性と保証の掛け算でした。有用性を保証、継続的に提供、改良することが求められます。この継続的な活動を行うためには、収益化が必須要件になります。価値を最大化していく活動と併せて、顧客数を増やす、顧客単価を上げていくことが重要になります。その際に有効なビジネスツールとして、ビジネスモデルキャンバスがあります。ビジネスは9つの要素で構成され、かつ有機的につながっていることを可視化するツールです。その要素の中で最も重要なものが “価値” につながります。 です。この価値を受け取っているユーザーは誰か、どのような接点を通して価値を受け取っているか、価値を継続的に受け取りたくなる仕掛けは何か、そしていくらはらっているか、という価値を届ける際に考えべき思考と、どのような事業リソース(ヒト、モノ、カネ、データ)を駆使して価値をつくるか、不足している事業リソースはどのようなパートナーと組むことで解決するか、事業リソース及びパートナーリソースをどのような組合せて活動させることで価値が生まれるか、そしていくらコストが必要か、という価値を作る際に考えるべき思考を提供してくれます。

これまでのサービスデザイン活動で発想、検証した価値を中心にビジネスの要素を展開し、妥当性を計測しますが、とにかく収支が合わない。コストを下げると価値開発が難しくなり、コストを上げると赤字になる。そのため、再度9つの要素を見返し、再定義するとともに、価値への期待値をコントロールすることが求められる。初年度は、赤字前提で特定のユーザーから強い満足度を引き出すことに専念し、そのユーザーの満足度を他のユーザーへ拡大させていく。そう考えると事前に用意しておく資金の規模感、ROI達成の期間、リソース確保の算段が見えてきます。 能力やコストといった制約条件がある中で、どこまで価値と収益に向き合えるかを、他社と何度も議論しながら展開しました。

サービスデザインとビジネスデザインを終えた時点で、本当にユーザー価値をとらえているか、本当に収益化するためのリソースを調達、運営できるのか、様々な実行時の課題が生まれてきます。この課題に立ち向うための体制づくりが最も大切であることを繰り返し伝えました。ビジネス、サービス、デジタル、資金、リーガル等様々なプレイヤーがいて、事業は成り立ちます。 これらプレイヤーの参画には、ビジネス的なやり取りだけでなく、強いビジョンとその共鳴が必要であり、それが成功に向けた唯一の共通こうである “GRIT(やり抜く気概)” につながります。 サービスービジネスの同期には、このマインドがあって初めて実戦の中で成り立つことを肌で感じ取っていただきました。

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富士通ラーニングメディア 飯田 哲也

社内起業家(Intrepreneur)
組織が持つアセットを最大限活用することを前提に、外部アセットとのコラボレーションから、従来とは異なる事業を生み出す。お客様の成果と成長を伴奏支援し続けていくことに強い気概を持ち、現場に立つ。計9年間で70社、2,000名の人材・組織・事業開発の支援実績を持つ。

  • 共創空間「CO☆PIT」を9年前に立上げ、ビジネス展開
  • 業種/階層を超えた共創を軸とした人材育成・組織開発・事業開発を支援
  • デジタルテクノロジーを起点としたアイデアソン・ハッカソン/伴走コンサルティングを展開
  • 人材育成メディアGRIT の展開
  • 内閣府リリース「経営デザインシート」を活用した場のモデレーション、実践トレーニングを展開
本事業では、IT企画者全般の講座担当、Co-Working運営、ビジネスモデル開発時のデジタル化支援、及びメンタリング担当