開催日:2020年1月24日
レポート
セミナー

今回レポ―トするイベントは1月24日に開催した、第7回デジタル技術を活用したビジネスイノベーションセミナーです。
テーマは
「“高知発”産学官民連携イノベーション~「ココプラ」の取り組み~」
。イノベーションという言葉が流行って久しい昨今ですが、イノベーションを起こすのに重要なファクターの1つと言われるのが「ダイバーシティ(多様性)」。
そのためには組織、企業の壁を超えて、他企業や大学と連携し、技術革新や事業創出の輪を広げていく場が必要です。高知県ではいち早くそれを実践すべく、2015年に高知県産学官民連携センター(ココプラ)を開設しております。
今回はそんなココプラのチーフ田村和彦様を高知県からお呼びして、(なんと本セミナーに行政の方が登壇頂くのは今回が初!)高知県ではどのように産学官民の連携を実現しているのかご講演して頂きました!
高知県
「皆さん!高知県にはお越し頂いたことはありますでしょうか?」
の掛け声からスタートし、まずは茨城県と比べながら高知県についてお話をしていただきました。
高知県と茨城県の面積はほぼ変わりませんが、高知県の人口は70万人を下回っており茨城県の1/4程度。
その反面、茨城県で一番人口の多い水戸市が約28万人なのに比べ、高知市の人口が約33万人がであるという一極集中という特徴もあるようです。
その他に、高知県は、茨城県と比べると製造業や農業の総規模はどれも及ばないようですが、人口当たりの病床数が多いことが1つ特徴として挙げらるようです。その理由は、高知県は高齢化が早いうちから進んできたことも関連しており、そのために医療や福祉といった分野では様々な先進的な取組みをしてきたからだそうです。


産業振興計画
そのような特徴がある高知県では
人口の減少
が大きな課題になっているとのこと。
何も手を施さなければ、2060年には高知県の人口は39万人になってしまうというデータも出ているようです。
主な原因としては、経済規模が収縮することで若者が県外に流出してしまい、過疎化・高齢化につながる。
その結果として、少子化が加速して更なる
人口減少
となる負のスパイラルに陥ってしまっているようです。高知県では、この負のスパイラルをプラスのスパイラルにすべく、産業振興計画を策定し取り進めているとのことでした。
人口を増加させるためには、若者の定着・増加と、出生率の向上を図ることが必要です。
若者の定着増加のためには
「地産外商による雇用の創出」
であったり、
「若者の県外流出防止、県外からの移住者増」
を目指す必要があります。
高知県では、この一連の流れを
「産業振興計画」
によって推進しているとのことでした。
この取り組みは、
まち・ひと・しごと創生総合戦略のページ
にも掲載されています。
産学官民連携センター(ココプラ)
高知県では、2015年に産学官民が連携して行う産業振興や地域の課題解決に向けた様々な取組を推進するため、高知県産学官民連携センターを設置しました。
このセンターの愛称は
「ココプラ」
と呼ばれており、
ココ
がイノベーションを生み出す
プラ
ットフォームとして、また気軽に
プラ
っと立ち寄れる場所という意味が込められているようです。
場所は高知県立大学・高知工科大学のキャンパス内に設置されており、開設以降、以下の3つを基本機能とし現在も活動しているとのことでした。
- 高等教育機関がつながる「知の拠点」
- 産学官民がつながる「交流の拠点」
- 産業振興のための「人材育成の拠点」


ココプラの組織と特徴
ココプラの組織には特徴があるようです。ココプラは基本的に県の職員がメインとなって働いておりますが、それとは別に県内の高等教育機関に
「コーディネーター」
を配置して頂き、彼らに「学」の窓口になってもらっているとのこと。各学校のコーディネーター同士が連携する事で、企業等が求める最新の技術動向やシーズの情報提供をすることを可能にしているようです。
この
組織体系こそココプラの特徴であり、かつ強みである
と捉えていると、教えていただきました。
ココプラの事業
「地域の持続的な発展に向けて、継続的に新たな挑戦が行われる環境をつくる」
をテーマに、ココプラが展開している事業としては大きく以下の2点あげられます。
1つは、「起業・新事業展開の促進」として
「こうち起業サロン」と「ココプラ」での「交流・連携」の取り組み
。
もう1つは、「人材育成・確保の取り組みの充実」として、ビジネス知識やスキルのアップを目的とする社会人講座「土佐まるごとビジネスアカデミー(通称:土佐MBA)」の開催です。

起業・新事業展開の促進
ココプラで「起業・新事業展開の促進」の取り組みとして行っている内容のご紹介です。
新たな事業展開や研究開発に関する相談をいつでも受け付ける相談窓口を設置。
相談を受け、大学等の研究者や関係機関との橋渡しを行う。
県内の大学・公設試験研究機関などが持ち回りで研究内容や取組を紹介する場を設ける。
シーズや研究内容をテーマに「参加者との意見交換」や「連携のアイデア」を出し合い、大学間、また、企業と大学などとの連携につなげていく。
企業を訪問して、研究開発に関するニーズへの協力や企業の技術課題への解決方策などの提案や意見交換を行う。
訪問後、希望に応じて、興味や関心のある技術シーズや研究内容について該当する大学等との追加の面談などを実施し、連携に向けた取組をフォローをする。
同業種 ではライバル関係であって話が進まないこともある。 異業種 では技術的な意見交換をしたくても全くジャンルが異なると話がかみ合わないこともある。このような問題を考慮し、より良い環境で意見交換できる場として、テーマに近しい 似業種の 企業を集めて意見交換する場を設ける。
高知県内の経営者を講師としてお招きし、創業のエピソードや企業の強み、経営者として大切にしている視点や想い、今後の事業展開等を紹介いただ場を設ける。 講師と参加者との意見交換等を通じて、新たな気づきやきっかけ、ネットワークの構築を目指す。
与えられたテーマに対し、各参加者の技術やアイデアを持ち寄り、短期間で集中してサービスやシステム、アプリケーション等を開発し、成果を競うイベントを開催する。
企業固有の技術や能力に着目し、開放特許をきっかけとしたアイデアソンを実施し、新製品開発・新分野進出につなげる。
経済や社会の先端トピックスを切り口に日本と世界の動きを紹介するセミナーを開催する。
このように、あらゆる視点から見て「交流・連携」が促進されるように工夫しながら様々な場を設けて活動を行ってきたということでした。
また、行ってきた活動の特徴の一つとして、例えば、アイデアを生み出すために取り組んだ「アイデアソン」でも、ただのイベントではなく、
「ある目的を達成するためのアイデアソン」
というコンセプトで開催することも心掛けていたようです。
このような活動を進めていくことで、徐々に実績が出来つつあるようで、それは実際に企業同士が連携して事業を進めている実績ももちろんですが、新しい人と人との繋がりや企業と企業の繋がり、さらには企業の従業員と大学の学生の繋がりにも寄与出来ていると感じられるものになっているということでした。
人材育成・確保の取り組みの充実
一方、人材育成という観点では、土佐まるごとビジネスアカデミー(土佐MBA)の開催です。
土佐MBAは、ココプラができる前から取り組んでいる活動で、講座形式でビジネスの基礎から応用・実践力まで、受講者のニーズやレベルに応じて体系的に身につけられる研修プログラムを提供しているとのことでした。
この土佐MBAには、高知県全体で地域にいながら学べる、また気軽に参加して学べる仕組み作りを心掛けてということでした。
高知県では社会人向けに経営手法を学ぶ講座を提供している民間企業がほぼないため、ココプラがその役割を担い、地域企業の方が経営戦略・マーケティングの視点、あるいは社内起業家の育成方法などを学べる場を提供しているとのことでした。
こういった講座の受講生が自主的に他の受講生とコラボレーションをし、新たな商品開発を行った実績も出てきているようです。

最後に
ココプラで取り組んできたことを振り返りながら、最後にこう締めくくってくださいました。
2015年にココプラを開設以降、様々な取組みをして参りました。
しかし、新規事業や新規商品開発の実績が膨大に出てきているかというと決してそうではないのが現状です。
しかし、これまでの取組みを通じて様々な繋がりが生まれて来ているのは確かであり、そこに関して言えば成功である考えております。
例えば、イベントやセミナーの瞬間は繋がる必要がなかった企業同士だったとしても、後々連携が必要となった時に「はじめまして」の挨拶から始める必要はないのですから。
そういった意味では、実は私が知らないだけでココプラを通じて繋がった企業の方たちが今まさに連携して事業を始めているかもしれません。
様々な情報を集約して皆様に情報提供を行う場を創る、これは公的機関である我々だからこそ出来る役割だと考えております。
今後もこういった活動を通じ、皆様の、そして産業振興の一助を担えればと考えております。

【講演者】
高知県産学官民連携センター
チーフ(交流・連携担当)
田村和彦 氏
【略歴】
2001年 高知県庁入庁
2016年より現職