開催日:2019年8月5日
レポート
講座

8月5日~6日は、【IT企画者コース】デジタル技術の基礎講座の開催です。
デジタル技術を活用してビジネス成果を生み出すためには、多様なプレイヤーと
“デジタル技術”
を共通言語としたコミュニケーションが求められます。そのコミュニケーションを円滑に行うために必須となるデジタルリテラシーを強化することを目的に、本講座を開催しました。
ITの原理原則(ハード,OS,ネットワーク,データベース)から、最新のデジタルテクノロジー(IoT、AI、クラウド、OSS)、セキュリティ等広範囲にわたる技術知識と接点を持っていただきました。
“デジタル“で出来ること、出来ないこと
デジタル活用のシンプルな構造の理解から始めました。「Input-Process-Output(IPO)」の原則です。普段利用しているPCに、IPOの原則を適用すると、「Input」マウスやキーボード等の入力装置からデータがメモリやHDD等の記憶装置に送られ、「Process」その記憶装置に格納されたデータをCPU等の制御装置と演算装置がデータ処理し、「Output」その処理結果をディスプレイ等の出力装置に送り、画面出力されます。コンピュータの5大装置を利用した仕組みは、今も昔も変わらない構造になっています。PCの構造も、スマートデバイス、企業向けのエンタープライズサーバ、IoT等で利用さる小型コンピュータも同じ構造です。この構造を理解した上で、ネットワーク通信、データの書込み、修正、削除をデータベースで行う等、知見を拡張させていきました。
デジタルを扱う上での普遍的な原則を把握したうえで、現行の最新テクノロジーを活用したビジネス事例を、IPO/コンピュータの構造を軸に紐解くことで、爆発的に売れているコミュニケーションロボットは、入力装置として画像センサーを活用し、処理の過程では人間の感情を推定するAIを用いて、出力として、その感情を反映した行為をロボットの動作で表現していることがわかります。
では、データがとれなかったらどうなる?必要な処理装置が様々な制約から搭載されていなかったらどうなる?出力された画面が静的な情報しかないとユーザーは、画面そのものを見るのか?といったように多くの疑問が沸いてきます。この疑問を解決してくれるプロフェッショナルがITエンジニアです。
デジタルを活用して、
“何を実現したいか”
、その実現のため
“IPOアプローチ”
をとるとどのようなことが、
“出来そう”
で
“出来なさそう”
なのかを仮説設計できることが重要です。
この感覚がないと、ITエンジニアは
“何を実現したいか”
がわからず、技術の調達、組立、開発、検証ができません。結果、コミュニケーションにデジタルデバイド(情報格差)が発生し、意思疎通ができず、何も実現しないという結果にたどり着きます。
デジタルリテラシーの強化は何のために行うか、デジタルで何かを実現したいから。
そのために、原理原則を把握することを繰り返し学習しました。


“デジタル”に触れ合い続ける
デジタル活用の原理原則を学習しただけでは片手落ちで、実際にテクノロジーを使い続けることがリテラシー強化に欠かせない行為になります。本講座では、実際にWebサービスの一部機能をHTML・CSS・JavaScriptを活用して実装/検証/改良することや、収集データの分析をOSS(オープンソースソフトウェア)やベンダーサービスの利用から要約、クラスタリング、回帰分析等をPythonを利用して行うといった演習を行いました。実際に利用すると、予期せぬ動作や、精度の低い分析結果がでてきたりと、思ったような結果が生まれません。では、その思ったような結果を生み出すために、どのような技術や開発手法、コーティング等をすべきか有識者、つまりITエンジニアとコミュニケーションが発生します。頭では分かっていても、実際は思ったように事は進みません。ITエンジニアに要件を伝えれば、短時間ですぐに開発してくれる前提のコミュニケーションは、失敗の元です。AIは魔法の杖といった表現で言葉にされる方もいますが、現実の技術は、まだまだ特定の課題解決に応えてくれるレベルです。この事実を前提として、デジタル活用と向き合うことで、限界がある技術や制約のあるコストや納期条件から、以下に良い成果をだすかITエンジニアと共創が生まれます。


IT企画者が要件を伝える、ITエンジニアが実装する、その実装結果をIT企画者が検証する、この流れで従来はサービス開発が主流でした。ただ、世の中の変化が激しい中では、要件を一緒に考える、サービスを一緒に実装・検証するといったスピード重視の開発が求められるシーンが増えてきました。
その時に、デジタル活用のリテラシーを持っていない方は、そのプロジェクトに参画できないことになります。
現業で培った能力を拡張する意味で、デジタルサービスと
“触れ合う”
ことで、ITエンジニアと共創するための素地を醸成し、実際にデジタルサービスが持つポテンシャルを肌で感じていただきました。
ITエンジニアとの仮説検証の場をつくる
リテラシーを強化した後は、実際にITエンジニアと一緒に活動してみることが一番の能力開発になり、且つ実際のビジネスでの新領域開発に直結します。
後段の講座でITエンジニアと一緒に活動する機会をつくりますが、IT企画者として最も重要なことが、仮説検証を繰り返し行うためのフィールドを準備することです。
デジタルサービスは、ユーザー中心に設計したサービス開発となり、そのユーザー自身が利用してみないと、満足度が計測できない。したがって、ITエンジニアと一緒に開発したサービスを利用するヒトのアサイン、そのヒトに使ったほしい環境の準備、使った後のヒアリングや利用状況のデータ分析等が欠かせない。
この三現主義(現地、現物、現実)を徹底したサービス開発から、ユーザー品質を高めていくアプローチには、繰り返しになるが仮説検証の場づくりが必須となる。
この重要性をリフレクションを含めて行うことが、デジタル活用を成功に導く1つの大きな要因であることを、過去の事例等紹介しながらお伝えしました。
学んだあとは実践あるのみです。


富士通ラーニングメディア 飯田 哲也
社内起業家(Intrepreneur)
組織が持つアセットを最大限活用することを前提に、外部アセットとのコラボレーションから、従来とは異なる事業を生み出す。お客様の成果と成長を伴奏支援し続けていくことに強い気概を持ち、現場に立つ。計9年間で70社、2,000名の人材・組織・事業開発の支援実績を持つ。
- 共創空間「CO☆PIT」を9年前に立上げ、ビジネス展開
- 業種/階層を超えた共創を軸とした人材育成・組織開発・事業開発を支援
- デジタルテクノロジーを起点としたアイデアソン・ハッカソン/伴走コンサルティングを展開
- 人材育成メディアGRIT の展開
- 内閣府リリース「経営デザインシート」を活用した場のモデレーション、実践トレーニングを展開